脂質異常症


脂質異常症 薬剤師国家試験対策

この範囲は、特に深く問われるかというと、答えはNOですが、必ず選択肢の一つには出てきますし、何よりも実践問題での登場率が高い範囲だと思います。あとは、薬理よりも薬剤の薬の相互作用ではスタチン系は必ず押さえておくべきポイントですね!全ての教科を網羅しながら進めていきましょう。


さて、薬理の前に…、脂質異常症に該当するコレステロールの基準値は頭に入っていますか?
検査値の基準はなるべく頭に入れておくと、実践問題でかなり有利になります。ここはゴロを使って一発で頭に入れちゃいましょう。LDL140mg /dL以上、HDL40mg /dL以下は有名だと思いますが、中性脂肪(TG)の覚え方としては→

 

「死亡は困る、一番困る」
死亡→中性脂肪 困る→50 一番困る→150 (TG=50〜150)


これで頭に入れて起きましょう。トリグリセリドが高いのか、コレステロールが高いのかで第一選択薬が変わってくることも頭においておきましょうね!さて前置きは終わり。ここからは、薬理学の話です。
今回も全体がわかりやすく見えるように脂質異常症マップで示しながら説明していきます。

 

まずは、単純に…何が脂質異常の原因かを考えましょう。今回は右図を元に知識を加えていきます。見てわかるように、肝臓で合成されたLDLコレステロールが血管に蓄積していくことが脂質異常症の根本的な問題になってきます。ここまでは簡単ですね。だから、まずはコレステロールが肝臓で合成されるのを防げば良いのです。→これがスタチン系になります。

スタチン系

コレステロール合成の律速段階であるHMG-CoA還元酵素を競合的に阻害
※引っ掛けポイントとして、「HMG-CoAを阻害する」は✖️阻害するのは「還元酵素」です
→競合的な阻害をするので、どのスタチン系の構造式にも同じような疎水基が入っています。
この構造がHMG-CoA還元酵素と似ているため競合した阻害作用を示します。化学の問題で構造式だけパッと出題されても、何の系統の薬かわかるのは非常に強みですね!薬理のポイントの一つに、共通する構造を見つけると、より理解しやすくなります。

 

さて、ここからは薬剤や実務的な話ですが、スタチン系にはストロングスタチンといった強さの段階があります。また、代謝がCYPの影響を受けないものもあります。これはちょこちょこ問われるので頭文字だけ覚えましょう!
ストロングスタチン→「強いことを、ア ピ ロ ー!」
(アトルバスタチン、ピタバスタチン、ロスバスタチンはストロングスタチン)

 

CYPの影響を受けにくいもの→プ ロ ピ

プロピ…これに関してはゴロでも何でもないですが、何となく頭に入って入れば勝ちなのです。笑
(プラバスタチン、ロスバスタチン、ピタバスタチンはCYPの影響を受けにくい)
→なので、グレープフルーツジュースとの飲み併せ問題などは引っかからないように!これらは関係ありません!

さて、次は、LDL受容体についてです。これは、生物でも出てくる範囲になりますね。血液中のLDLコレステロールも、肝臓に発現しているLDL受容体によって再び肝臓に取り込まれてしまえば、胆汁酸として排泄されるか、もしくはコレステロールとしてホルモン合成の材料になったりと使い道があるわけです。つまり、肝臓のLDL 受容体の数が増えれば、血中のLDLコレステロールの取り込みが促進され、脂質異常症は改善していきます。
この、LDL受容体の数を増やす働きを持つ薬を覚えましょう。
スタチン系、コレステロール吸収阻害薬(コレスチラミン、コレスチミド)のみです。
他、脂質異常症治療薬には受容体の増加作用はないので引っかからないように注意!
脂質異常症治療薬は同じような作用機序なのでとてもごちゃ混ぜになりやすいので、教科書も細かな点まで読み込みましょう。

 

次に注目して欲しいのは、脂質異常症治療薬のほとんどはLDLコレステロールの低下、HDLコレステロールの増加作用をしましますが、一つだけHDLコレステロールも低下させてしまうものがあります。
これが、プロブコールです。プロブコールはコレステロールから胆汁酸を作るのを促進する働きを持っています。簡単に言い換えると、「LDLだろうがHDLだろうが胆汁酸にして、排泄してしまうぞ」という働きをします。なのでHDLコレステロールの値も下げてしまうということを頭に入れておきましょう。

 

ではでは、なぜこの順番にお話ししたかというと、この3つの薬、結果的には脂質異常症を改善することに変わりはないのですが、作用機序が違いましたね。大きな違いは繰り返しになりますが、LDL受容体へのアプローチがあるかないかということです。ここでプラスαで知ってて欲しいのが「家族性コレステロール血症に有効なのはどっち?」という話です。そもそも、家族性コレステロール血症とは…?→染色体の異常により肝臓に発現しているLDL受容体の数が少ないことによる脂質異常です。なので、染色体自体に異常があるので、スタチン系などの受容体増加作用というのは無効になってきます。よって、家族性コレステロール血症にも有効なのは、受容体を介さずに胆汁への異化を促進してくれるプロブコールになるというわけです。

脂質異常症の薬もここまで詳しく見ていかないと解けないレベルになってきているんですねぇ…涙
同じような作用だからこそ、違う点は何なのかをこの記事でしっかり学んでください!

 

あ、この記事では教科書を読んだらわかるレベルの副作用であったりは省略して書いています。なので基本的事項は自身で補ってくださいね!
次に、これはサクッとしか話しませんが、脂質異常症にも最初にお話ししたように、コレステロール値が高いのか、中性脂肪(TG)が高いのかと別れてきます。結論から言うと、TGが高い場合の第一選択薬はフィブラート系です。スタチン系はコレステロール合成の段階を阻害するので、考えてみれば当たり前の話です。

 

…ちなみに、スタチン系とフィブラート系は禁忌ではなく原則禁忌なので現場では一緒に処方されている例もあります。これは働き始めは、え!?となりますが、こういった処方箋も全然やってくるんですね。。

 

さて、話を戻して、次はニコチン酸系です。これはキーワードだけ押さえておいたら良いでしょう。
脂肪組織からの遊離脂肪酸の動員の抑制です。Giタンパク質が関与していると言うのもおさえておきましょう。受容体に関しては自律神経の最初の方で説明しているので、この記事も読んで見てください。

もう少しで脂質異常症治療薬は終わりです。あと2つのポイントだけ押さえれば完璧です!!
1つ目は、イコサペントエン酸エチルとオメガ-3エチルです。どちらも魚のl脂身を取り入れて治療する、といったイメージを持ってもらって構わないのですが…この二つの違いを把握しましょう。オメガ-3エチルはEPAとDHAがどちらも含まれています。なので、簡単に言うと、イコサペンタエン酸エチルの進化版ですね。なのでこの2つ、用法が違ってくるんですね。イコサペンタエン酸は毎食直後なのに対し、オメガ-3エチルは1日1回服用でOKです。実践問題での用量用法の問題で間違えないように注意!

 

そして、最後は一番注目すべきエボロクマブです!
PCSK9って何なの!?ってところですよね。PCSK9とは、LDL受容体を分解してしまうタンパク質のことです。LDL受容体の数が減ることのデメリットは最初に話した通りです。なので、PCSK9は悪者と言うわけで、破壊してしまう必要があります。この役目を果たしてくれる抗体製剤がエボロクマブになるわけです!

 

とても長い解説になってしまいました。しかも、基礎的な部分はかなり省略して国家試験や模試に対応できるレベルの解説に仕上げています。でも国家試験はここまで細かいところまで出題してくるようになっています。ぜひ、もう一度見直して、そして何度も問題を解いてください。その年度でのトレンドが反映されやすい範囲でもあるので、模試の問題で今年の傾向をしっかり掴んでおきましょう。




この記事を書いた人

あやちゃむ

薬剤師2年目の社会人。
薬学生時代は何を勉強すればよいのかわからず、模索し、独自の勉強法を確立。そして薬剤師国家試験に一発で合格。
このブログでは受験するうえで身につけた、合格のための勉強法を参考書の単元ごとにまとめていきます。

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